★総合格闘技を語ろう!★
“神の技を持つ男”現在ムエタイの最高峰センチャイが三たび来日を果たした。タイでは強すぎるため同じ階級で相手がおらず、常に5ポンド以上(2~3kg)のハンディマッチで試合を行っているセンチャイだが、ベストウェイトは本来56~57kg。今回の契約体重は68kgで、対戦する石毛は三階級上のウェルター級であり、センチャイにとっても未経験の挑戦であった。
1~3Rまではまさにセンチャイの独壇場。石毛の攻撃を全く受けることなく、ハイキックや前蹴り、ロー&ミドルキック、さらには得意の崩しなどで石毛を翻弄する。3Rには前蹴りとボディストレート、それにヒザ蹴りと徹底的にボディを痛めつけ、石毛の攻撃はイナバウアー級に仰け反るスウェーバックでかわしていく。
しかし、体格差のある相手と何度も組み合ったためセンチャイは徐々に失速。体重も65kgに無理やり増量したため、4Rにはスタミナ切れを起こした。それでも、4R途中に観客席で起こった乱闘騒ぎを横目でチラチラと見るほどの余裕ぶり。
最終ラウンドはセコンドの「これは喧嘩だ!」の声を受けて、石毛が猛ラッシュ。パンチでセンチャイを追い回し、左ストレートを2発当てた。組み付くセンチャイにはなりふり構わないヒジ、さらには頭突きまで繰り出す喧嘩殺法。攻め続けた石毛だったが、センチャイに距離を殺されて為す術がなかった。
石毛は「絶妙の距離感で攻撃が当たらなかった。パンチの当たる距離には絶対にいないし、何を当てていいのか分からない距離にいるんですよ。パンチで行くと合わせられるから足を滑らせるようなローキックで行きたかったけど、蹴らせてくれなかった。力強さよりも何もさせないバランスを感じましたね」とセンチャイの上手さに舌を巻く。